私たちが普段何気なく食べているきのこは、栄養豊富で様々な料理に合わせやすい万能食材です。
ただ、それぞれのきのこにはどのような特徴があるのか、どうやって保存すればよいのか、そもそもきのことは何者なのかなど、意外と知らないことも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、販売されているきのこの種類や特徴、保存方法や切り方、おすすめレシピなどを紹介いたします。
きのことは
きのこは野菜売り場に置かれている事が多いですが、植物ではありません。
かといって、動物でもありません。
きのこは『菌類(きんるい)』というグループに属する生物で、実はカビなどの仲間なんです。
菌類と一口にいってもたくさんの種類がありますが、その中でも子実体(しじつたい)という器官が肉眼で見えるほど大きくなる種類を特別に『きのこ』に分類しています。
私たちが食べているのも、この子実体の部分です。
きのこは食物繊維が豊富で『菌』そのものを食べられるため、腸活やダイエットに効果的な食材として注目されています。
きのこは何種類あるのか
スーパーできのこ売り場に行くと、しいたけ、エノキタケ、マイタケ、エリンギ、マッシュルームなど、多種類のきのこが並んでいるのが目につきます。
最近では『タモギタケ』や『ヤマブシタケ』『ハナビラタケ』など、珍しいきのこを見かける機会も増えてきました。
一体きのこは何種類あるのでしょうか。
日本に自生しているきのこは約4000~5000種類、そのうち種名がわかっているのは約1,800種くらい、食用は約700種くらいと言われています。
世界的には、約20,000種くらいあるのだそうです。
『くらい』とか『言われています』をやたらと多用するのは、未確認のきのこがたくさんありすぎて、正確なところは誰も分からないから。
まだまだ名前の付いていないきのこが沢山あるんです。
ちなみに、日本で販売されているきのこの種類を数えてみたら約40~50種でした。
食用きのこ図鑑
スーパーなどで販売されているきのこの特徴を紹介いたします。
市販きのこのほとんどは、オガクズなどを練って固めた培地できのこ菌を培養した『菌床栽培』のもの。
この技術のおかげで、年中きのこが食べられるようになりました。
また、秋になると栽培が出来ない『マツタケ』なども売り場に並びます。
しいたけ
しいたけは生産量・流通量ともに多く、日本人には非常に馴染みの深いきのこです。
味がしっかりしていて出汁もとれるため、天ぷら、炒め物、煮物、お鍋の具、お汁の具など、和食では様々な料理に利用されます。
天然しいたけの旬は初夏と秋頃で、シイ・コナラ・クヌギなど広葉樹の枯れ木や倒木に生えます。
椎(しい)から生えていたから ”椎茸” なんです。
歴史も古く、江戸時代頃から人工栽培を行っていたそう。
とはいえ昔のしいたけ栽培は切り倒した木にナタで切り込みを入れ、しいたけの菌が自然に飛んでくるのを待つという方法で、失敗すれば一文無しで一家離散の憂き目にあう博打的なものだったそうです。
それを見ていた森喜作さんが、将棋の駒をヒントにしいたけの種菌を木材に繁殖させた”種コマ”を開発し、しいたけが安定的に栽培されるようになりました。
しいたけの栽培方法には適度な長さに切った木を利用する原木栽培と、オガクズを固めた培地を利用する菌床栽培があり、販売する時に『菌床』か『原木』か栽培方法を明記する義務があります。
干ししいたけ
しいたけは生鮮品だけでなく、『干ししいたけ』も多く流通しています。
保存期間を延ばすのはもちろんのこと、より美味しいダシがとれるようになるのが特徴です。
乾燥することにより細胞壁が壊れ旨味が溶け出しやすくなるためで、ダシ取りや煮物には干ししいたけを利用するのが一般的。
また、干ししいたけを戻す時は、冷水を使った方が美味しくなると言われています。
水を張ったボールや密閉袋にしいたけを入れて、冷蔵庫で一晩かけてじっくり戻しましょう。
ブナシメジ
エノキタケに次いで日本で2番目に多く栽培されているきのこ。
様々な料理に合わせやすい万能食材です。
天然のブナシメジは独特の苦味を持ち、昔の栽培品種も同じように苦味がありました。
しかし、それを苦手とする人も多かったため、品種改良され最近のブナシメジはほとんど苦味を感じなくなっています。
また、あまり知られていませんが、二日酔いに良いとされるオルニチンをシジミの約7倍程度含有しています。
エリンギ
エリンギは、日本では1990年代から栽培され始めた比較的新しいきのこです。
子どもでも食べやすい癖のない味、食感の良さが人気ですっかり定番きのこの仲間入りとなりました。
『きのこ嫌いでもエリンギなら食べられる』という子は多数います。
そんなエリンギは、実は日本には自生していません。
海外から種菌を持ち込み、日本で品種改良したものが普及しました。
美味しくて食感の良い軸の部分を、日本人の好みに合わせて長く太く改良した事がぴったりハマって、これだけ人気のきのことなったと考えられます。
マイタケ
香り・旨味・食感ともに最高峰のきのこ。
また、近年はダイエット成分を豊富に含んでいる事でも注目されています。
天然物を見つけたら喜びのあまり舞い踊ってしまったくらい貴重なきのこでしたが、今では人工栽培法が確立され、スーパーなどでいつでも入手できるようになりました。
ビン型の菌床で栽培する小株タイプと、ブロック型の菌床で栽培する大株タイプが市場に出回っています。
ビンで栽培すると1株が100~130gくらいの小さい株に育つので、そのまま割らずにパックして販売できます(ホクトさんタイプ)。
ブロック型は1株がバレーボールくらいある400~600gの大株になり、一般的にはそれを100gに割ってパックして販売しています(雪国まいたけさんタイプ)。
時々500gくらいの大株をまるごと1個で売っているのを見かけることもあります。
エノキタケ
エノキタケは日本で一番生産されているきのこです。
軸の食感が良く、淡白な味で他の食材の邪魔をしない特徴と、他のきのこ類に比べて安価なため人気を博しています。
エノキタケと言えばすらっとした真っ白い肌、細長い足(軸)、ちっちゃい頭(カサ)のきのこを思い浮かべると思いますが、実は自然界で生えているエノキタケは全く違う見た目をしているってご存知ですか?
天然エノキタケは全体に濃い茶褐色で、カサは大きく開き、軸は短め、そしてナメコの様な粘りを持ちます。
では、なぜ栽培品は自然界のエノキタケとかけ離れた見た目になったのかと言うと、より消費者向けに品種改良されてきたからなんです。
エノキタケ栽培が始まった頃は茶色~クリーム色のえのきが主流でしたが、その中で稀に白い株が出てくる事がありました。
その白いエノキタケだけを選別して出荷したところ、市場評価が高くお客さんから好評だったため、白いエノキタケが発生するように品種改良がすすめられてきたというわけです。
当初もやしの様に暗い部屋で光を当てずに栽培して白くしていましたが、現在は光を当てても真っ白いまま育つ『純白系』という品種が主流になっています。
また、軸が長く育つのは周りに紙やプラスチックを筒状に巻いて栽培しているためです。
ナメコ
ヌルヌルした滑りが特徴的なきのこ。
アプリゲームの影響で、子供に『好きなキノコアンケート』を取ると1位になることが多くなりました。
(正直、本当に食べているかは疑問です)
『ナメコのお味噌汁は大好きだけど、それ以外の利用方法がわからない』という方は多く、この”食べ方がわからない”というのが、ナメコ需要がいまいち広がらない一因になっていると思います。
そのため、秋冬には売れますが、春夏は売れにくいきのこです。
市販品は、主に脱気した袋に入った足切りタイプと、株のまま売られている株採りタイプがあります。
足切りナメコは実は収穫~パックの過程で水洗いされているため、若干ヌメリが落ちています。
ヌメリをたくさん味わいたいなら株採りタイプがおすすめ。
マッシュルーム
日本国内ではエノキタケやブナシメジに比べてまだまだ消費量が少ないマッシュルームですが、世界に目を向けてみると一番食べられているきのこ。
もちろん生産量もナンバーワン。
海外ではマッシュルームをキッチンに常備しておき『煮物や鍋をする時はとりあえず入れておけ』という風に”ダシとりきのこ”としても用いられているので、1家族当たりの購入量がものすごく多いそうです。
ホワイトマッシュルームとブラウンマッシュルームがあり、それぞれ少し特徴が異なります。
ホワイトはまろやかで上品な味であっさりした料理向き。
また、鮮度が良いものは生食も可能です。
ブラウンはホワイトより味が濃く香りが強く出ます。
ダシもよく採れるのでシチュー、煮物やスープを使うならブラウンマッシュルームがおすすめ。
ヒラタケ
ヒラタケは、旨みが強く美味しいダシも出るため、和洋中どの料理にも合わせやすいきのこです。
日本ではヒラタケの生産量・販売量は決して多くはなく馴染みは無いかもしれませんが、世界的にみると実はマッシュルームの次に食べられている人気っぷり。
ヒラタケの形が牡蠣(かき)に似ていることから、海外では『オイスターマッシュルーム』と呼ばれています。
人気の秘密は比較的栽培が容易なことと、旨味が強くソテー、スープ、フライなど、色々な料理に合わせやすいからでしょう。
天然のヒラタケは寒い時期でも生えるため、『寒茸(カンタケ)』とも呼ばれています。
マツタケ
マツタケは『きのこの王様』と言われている、香り高い高級きのこです。
毎年旬の秋になると、木箱に並べられたマツタケがスーパーや八百屋さんの棚に並び、焼き物、土瓶蒸し、炊き込みご飯、お吸い物などで楽しまれています。
その名前からも想像できるように、マツタケはアカマツの木の根元に生えるきのこで、今のところ人工栽培が出来ません。
そのため天然物を採って流通するしか無く、マツタケ採り名人と呼ばれている人たちもいますが、基本的には見つけづらく、発生する本数も少ない『採りづらいきのこ』なので、希少価値で高級品となっています。
そのマツタケの最大の特徴と言えば、なんといっても『香り松茸、味しめじ』で名高いあの独特な匂いでしょう。
マツタケの匂い成分はマツタケオールと言い、日本人にはとても好まれています。
ところが、逆に海外では『軍人の靴下の匂い』と評され嫌われてきました。
そのため、アメリカやロシアなどでもマツタケは採れますが、日本人しかあまり食べてこなかったという歴史があるんです。
ハナビラタケ
名前の通り可憐な花びらのような形をしたきのこ。
天然物はかなり大きな株で発生することもあり黄色がかっていますが、栽培物はきれいな白色をしています。
柔らかそうな見かけによらずコリコリした歯ごたえが特徴で、炒め物などに最適です。
また、ハナビラタケはβ-グルカンが豊富に含まれているため機能性でも注目され、多くのサプリや健康食品に加工されています。
ちなみに英語ではwood cauliflower mushroom(木のカリフラワーのきのこ)と呼びます。
ポルチーニ
芳醇な香りと味でとても人気のあるきのこ。
特にヨーロッパで愛され、パスタやリゾット等に使われています。
ポルチーニは(今のところ)人工栽培できない為、年間を通して流通するのは冷凍か乾燥品の天然物です。
尚、日本にもヤマドリタケ、ヤマドリタケモドキという近縁種が自生していますが、食べる文化が無かったため、主に輸入品が流通しています。
日本のレストランでも、『ポルチーニ香るソース』や『ポルチーニ入りパスタ』などのメニューを見かける機会が増えてきました。
腐生菌・菌根菌・寄生菌の違い
きのこは栄養分の摂り方で大きく3種類に分けられます。
- 腐生菌
- 菌根菌
- 寄生菌
腐生菌
倒木や枯葉など、植物の死骸を分解することで栄養を得ているきのこ。
しいたけやマイタケなど、ほとんどの栽培きのこはこのタイプ。
菌根菌
植物の根を通して栄養をもらい、逆に無機物を与えて植物と共生しているきのこ。
松茸やポルチーニなどが菌根菌で、このタイプは栽培が難しいとされています。
寄生菌
昆虫やクモ、菌類などに寄生して養分を得るきのこ。
きのこに寄生するヤグラタケや、ガの蛹に寄生するサナギタケ、冬虫夏草などがこのタイプ。
一部の寄生菌は食用に用いられています。
原木栽培と菌床栽培の違い
販売されているきのこの栽培方法は、大きく分けて原木栽培(げんぼくさいばい)と菌床栽培(きんしょうさいばい)の2種類あります。
両者の違いを説明します。
原木栽培
適度な長さに切った原木(ホダ木)に、きのこの種コマを打ち込んで栽培する方法。
主に山の林内やハウスで栽培します。
ただ、原木栽培を行う生産者は下記の理由で減ってきているのが現状です。
- 栽培日数が長く掛かり資金の回収に時間が掛かる
- 重い原木を運ぶなどの労力が掛かる
- 天候や気温に左右されやすく安定供給が難しい
- 栽培が容易な菌床栽培に切り替える農家が増えている
一方で、原木栽培は『森林を守る農業』だと言われています。
原木を作るために、木を適度に伐採すると森に日光が入ります。
また、栽培に使った原木は椎茸菌に分解され、やがて土に戻り森の栄養となります。
その栄養と日光で新しい木が育ち、農家さんはまたそこから木を適度に伐採する。
原木栽培は森林のサイクルに組み合わさった、循環する農業法なのです。
栄養源 | 原木 |
---|---|
栽培にかかる期間 | 約2~5年 |
栽培環境 | 山の林内やハウスが多い |
栽培法の特徴 | 環境にやさしい。天候や季節に大きく左右され、安定供給が難しい |
生産品の特徴 | 風味が強いと言われている。形は揃いにくい |
菌床栽培
菌床栽培は、オガクズと米ぬかなどの栄養源と一緒に混ぜて固めた『菌床ブロック』にきのこ菌を繁殖させて栽培する方法です。
菌床ブロックには円柱形や直方体、横長の円柱など色々な形があります。
菌床栽培の利点は大量生産に向くところ、栽培日数が短いこと(約3~4ヶ月)、施設栽培に向き安定生産・安定出荷しやすいところ、原木栽培に比べてきのこの形がきれいに揃いやすいことなどです。
今日、いつでもどこでもきのこを買って食べられるのは、菌床栽培技術が発達したおかげと言えるでしょう。
『風味や味は原木のきのこに負ける』と言う人もいますが、あっさりしていて食べやすく、逆に『菌床きのこなら食べられる』という人もいます。
栄養源 | オガクズと米ぬかなどを練り固めた菌床 |
---|---|
栽培にかかる期間 | 約3~4ヶ月 |
栽培環境 | 施設栽培、ハウス栽培 |
栽培法の特徴 | 施設栽培が出来るため大量生産に向き、安定供給しやすい |
生産品の特徴 | 形が揃いやすく、見た目が良い |
きのこの選び方
皆さんはきのこを購入する時に、どこをチェックしていますか?
ここでは選び方のコツを紹介いたします。
カサ
しいたけやマッシュルーム、なめこなどのカサは、開ききっていないものを選びましょう。
きのこはカサを開くと、その内側から胞子を出します。
そして、胞子を出しつくして役目を終えた後は、急速に劣化していってしまうんです。
そうなると傷みが早くなります。
カサの裏側
しいたけは、ヒダが白色の物を選んでください。
茶色く変色していると傷んでいる可能性があります。
マッシュルームは、成長するにしたがってヒダの色が白から黒に変わっていきます。
黒くても腐っているわけでは無く、むしろ味が濃厚です。
軸
きのこの軸は、固くてしっかりしているものを選んでください。
エノキタケの場合、劣化すると透き通ってきて柔らかくなります。
しいたけ、ブナシメジなどは柔らかくなったり変色してきたら傷んでいる可能性があります。
マッシュルーム
水っぽいと傷みが早くなるので、パックの中で汗をかいているのもは避けましょう。
また、時間が経つと変色してくるため、色がきれいなものを選んでください。
ブナシメジ
軸の色がきれいなものを選びましょう。
湿ってくると、茶色く変色して劣化が早くなります。
尚、まれに軸やカサの上部にカビのような白い綿が発生することがありますが、『気中菌糸』と言ってキノコの一部です。
食べても害はありませんが、気になる場合は湿らせたキッチンペーパーなどで拭くと消えます。
マイタケ
シナッと柔らかいものは劣化が早く、匂いがきつくなります。
ハリのあるものを選びましょう。
きのこの保存方法と下ごしらえのコツ
きのこの効果的な保存方法や、下ごしらえのコツを紹介いたします。
きのこの保存方法
きのこは青果物ですので、基本的に生の状態で長期間の保存は難しく、購入後はできるだけ2~3日中に使い切ってください。
また、湿り気があると劣化が早まるため、購入した際にパック内に結露がある場合は、一度取り出してキッチンペーパーなどで拭いてから冷蔵庫に入れましょう。
尚、長期保存したい時は、冷凍保存か乾燥保存がおすすめです。
きのこの冷凍保存
きのこは冷凍保存可能です。
ただし、冷凍したきのこを常温で解凍するとドリップしてしまうため、凍ったまま調理に使ってください。
そのため、あらかじめ食べやすい大きさにカットしておいてから冷凍するのがポイントです。
きのこの冷凍保存方法については、シュフのためのお役立ち情報を発信している『Shufuse(シュフーズ)』でも詳しく紹介されています。
ぜひ、あわせてご覧ください。
きのこの乾燥保存
乾燥きのこは自宅で簡単に作ることができます。
きのこを適度な大きさに手で裂いたり包丁で切り、ザルや網になるべく平らに並べて、2~3日間くらい天日に当ててください。
夕方になったら室内に取り込んで、朝また日に当たるところに出します。
雨が降ったら取り込んで下さい。
出来あがった乾燥きのこは、密閉容器や袋等に入れて1ヶ月位保存できます。
尚、きのこは天日に当てることでビタミンDが増えるため、乾燥保存は栄養面でもおすすめです。
きのこの切り方
時々、しいたけなどの軸を丸ごと切り取って捨ててしまっている方がいますが、とてももったいないです。
きのこは軸も食べられます。
基本的に軸の端っこ、菌床がくっついている部分だけを切り落とすようにしてください。
尚、エリンギやマイタケは収穫時にあらかじめ菌床が取り除かれている事が多いので、パックに入っている部分丸ごと食べられます。
きのこは洗う?洗わない?
きのこを料理するときに『あれ、きのこって洗った方が良いんだっけ?』と疑問に思うことはありませんか。
スーパーなどで購入したきのこは洗わないで大丈夫です。
理由はクリーンな環境で栽培されているし、洗うと風味が落ち劣化しやすいから。
ただし、オガクズ等が気になる場合は調理の直前にさっと洗っても大丈夫です。
また、きのこの種類によっては洗った方が良い場合もあります。
ナメコは、ヌメリの部分が酸っぱくなっている事があるため、ちょっと洗った方が旨いです。
マッシュルームを生でサラダなどで食べる場合も、調理の直前にさっと洗い変色防止のためレモン汁を掛けましょう。
マツタケも、さっと短い時間で洗う事をお勧めしています。
市販のマツタケは全て天然のきのこですので土や砂が付いており、そこから雑菌などが繁殖してしまう事もあるためです。
干しきのこを戻したら、戻し汁も調理に利用する
干しきのこの戻し汁には、旨味や栄養素がたっぷり溶け出しています。
そのため、戻し汁も捨てずに調理に利用してください。
例えば炊き込みご飯、煮物、スープなどに利用できます。
きのこの国内生産量
きのこの国内生産量について、農林水産省の公表している『特用林産物生産統計調査』のデータを使って調べてみました。
きのこの国内生産量の変化
下表は、農林水産省が発表している『令和2年特用林産物生産統計調査結果』から、生産量が多いきのこ順に並べかえたものです。
≪令和2年≫
きのこ | 生産量 |
---|---|
エノキタケ | 127,914t |
ブナシメジ | 122,802t |
乾燥しいたけ (生換算値) |
2,302t (16,115t) |
生しいたけ | 70,280t |
マイタケ | 54,993t |
エリンギ | 38,500t |
ナメコ | 22,835t |
ヒラタケ | 3,824t |
キクラゲ類 | 3,132t |
マツタケ | 32t |
また、下表は平成元年の生産量を同きのこ順に並べ替えたものです。
≪平成元年≫
きのこ | 生産量 |
---|---|
エノキタケ | 83,200t |
ブナシメジ | 22,349t |
乾燥しいたけ (生換算値) |
11,066t (77,460t) |
生しいたけ | 82,395t |
マイタケ | 6,167t |
エリンギ | ー |
ナメコ | 21,125t |
ヒラタケ | 35,716t |
キクラゲ類 | 153t |
マツタケ | 457t |
きのこ生産工場の大規模化などにより、エノキタケ・ブナシメジ・マイタケの生産量が飛躍的に増加している事が分かります。
一方で、しいたけやヒラタケなどは減少傾向でした。
都道府県別きのこの生産量
令和2年のきのこ別生産量1位、2位の都道府県は下表のとおりです。
≪令和2年≫
きのこ | 1位 | 2位 |
---|---|---|
エノキタケ | 長野県 77,230.0t |
新潟県 19,654.5t |
ブナシメジ | 長野県 51,965.3t |
新潟県 23,163.4t |
しいたけ | 大分県 8,185.7t |
徳島県 7,934.8t |
マイタケ | 新潟県 36,876.9t |
静岡県 5,365.7t |
エリンギ | 長野県 15,192.6t |
新潟県 12,859.5t |
ナメコ | 新潟県 4,981.6t |
山形県 4,458.4t |
ヒラタケ | 新潟県 1,458.0t |
福岡県 905.9t |
キクラゲ類 | 宮城県 317.0t |
岐阜県 313.8t |
特に、長野県のきのこ生産量が飛びぬけて多い事が分かります。
きのこレシピ
きのこが主役のおすすめレシピをまとめました。
きのこと白菜のホワイトシチュー
バターでベーコン・きのこを炒め、小麦粉を振り入れて絡めるように更に炒めて、牛乳を少しずつ入れてソース状にする。
振り入れた小麦粉を具材と一緒に牛乳で溶きのばすだけの簡単なホワイトソースですので、失敗しません。
>きのこと白菜のホワイトシチュー【簡単で失敗しない!美味しいホワイトソースの作り方】
きのことフレッシュ野菜のピクルス
きのこを600Wの電子レンジで5分加熱し、汁ごとらっきょう酢に漬けて、他の野菜と柚子の果汁を加える。
翌日まで漬けると、エノキタケのトロミがピクルス液を更にまろやかにしてくれます。
きのこのポタージュスープ
きのこなどの具材を炒め、水・コンソメを加えて10分程度煮て、粗熱をとってからミキサーに。
きのこ・玉ねぎ・牛乳の旨味で、簡単に美味しいポタージュが完成します。
>きのこのポタージュスープ【何のきのこで作ってもOK!今回は白いきのこだけで作ってみました】
きのこの肉団子(酢豚風)
みじん切りしたきのこを豚肉で包んで肉団子にし、お酢で味付けしました。
きのこの肉団子は結構ボリュームがありますが、お酢味ならパクパク食べられます。
>きのこの肉団子・酢豚風【きのこ料理研究家 まんぼママレシピ】
きのこたっぷりアヒージョ
きのこの出汁がたっぷり染みた熱々のアヒージョ。
複数種類のきのこを一緒に使うことで旨味の相乗効果が起こり、とっても美味しくなります。
マッシュルームの炊き込みご飯
マッシュルームを厚目にスライスしてオリーブオイルで炒めてから、昆布水・しょう油などと一緒に炊き込みます。
昆布のお出汁を使う事で、相乗効果で美味しさがアップ。
まつたけパスタ
マツタケはカサと軸を分けて使います。
軸はパスタの具に、カサはフライにして最後にトッピング。
>まつたけパスタ!意外な食べ方ですがとても美味しゅうございます
松茸ご飯
マツタケと言ったら、やっぱり『松茸ご飯』は定番です。
マツタケのカサ部分は炊き込まず別にトッピングするがポイントで、芳醇な香りがより楽しめます。
>秋の味覚 松茸ご飯レシピ!カサと軸を分けて使うのがポイントです
生きくらげの肉巻き
生きくらげやマイタケなどのきのこを、豚肉で巻いて炒めます。
生キクラゲは天日に当てることでビタミンDが増加するので、時間に余裕がある時はぜひ調理前に実践してください。
きくらげのきんぴら
きくらげ・舞茸・レンコン・にんじんなどをごま油で炒めてきんぴらにしました。
黒い食材は意外と身の回りに少ないので、きくらげは料理の彩りとして使えます。
>毎日食べても飽きないご飯のお供!きくらげのきんぴら【アンチエイジングレシピ】
エリンギ・トマトごはん
エリンギ、トマト、サバの水煮缶で作る炊き込みご飯です。
トマトやきのこから美味しい汁がたっぷり出るのdえ、炊く時の水加減は寿司めしより少なめに。
フクロタケの丸ごとメンチ
フクロタケをカットせずに丸ごと肉ダネに包み、メンチに。
冷めても美味しいのでお弁当にもお勧めです。
まいたけご飯
マイタケ・油揚げ・にんじんなどを煮て具材と煮汁を分けておき、煮汁でご飯を炊いて、後から具材を混ぜるレシピ。
混ぜ込んでから蒸らすことで、更に美味しく仕上がります。
>具材と煮汁を分けて作る!失敗しない『まいたけご飯』の作り方
舞茸のガレット
フライパンにオリーブオイルを入れ、舞茸・じゃがいも・ハム・チーズなどを押し付けながら焼いて作るガレット。
じゃがいものカリカリ感とマイタケの歯応えが合わさって、とても美味です。
えのき水餃子
細かくカットしたエノキタケをタネに練り込んだ水餃子。
エノキタケはみじん切りして冷凍することで細胞壁が壊れ、普通に料理するより旨味や機能性成分が溶け出しやすくなります。
エノキタケの麻婆豆腐
エノキタケをたっぷり使った麻婆豆腐。
エノキタケからトロミが出るため、水溶き片栗粉要らず。
>夏に食べたいアツアツきのこレシピ?!エノキタケのマーボー豆腐🔥
記事執筆者:関東きのこの会 代表 露木 啓
レシピ開発者:きのこ料理研究家 まんぼママ(原真智子)
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