日本人なら誰でも知っているなじみ深いきのこ『しいたけ』について、特徴やレシピ、栄養成分、保存方法などの各種情報を、このページにギュギュっとまとめました。
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しいたけ(シイタケ)とは
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俗称 |
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しいたけは江戸時代ごろから栽培されている、日本人には非常になじみ深いきのこです。
国内生産量はえのき・ぶなしめじに次いで3位(令和2年特用林産物生産統計調査結果より)。
流通量も多く、どのスーパー・八百屋でもまず販売されています。
天ぷら、炒め物、煮物、鍋物、お汁の具など、用途は多彩。
旨味成分のグアニル酸を多く含み、干ししいたけはダシ取りにも利用されます。
非常に利用価値の高いきのこと言えるでしょう。
天然のしいたけは、初夏と秋頃、シイ・コナラ・クヌギなどの広葉樹の枯れ木や倒木に発生します。
椎(しい)から生えていたから 『椎茸』と言うわけです。
人工栽培方法には、適度な長さに切った木を利用する原木栽培と、オガクズを固めた培地を利用する菌床栽培があり、販売する時に『菌床』か『原木』か栽培方法を明記する義務があります。
現在、市場に出回る生しいたけの9割以上は、菌床栽培品が占めています。
しいたけの料理レシピ
しいたけのレシピを紹介いたします。
焼きしいたけ(しいたけの網焼き)
採りたての肉厚しいたけは水分を多く含んでいるので、網焼きにするとジューシーでとっても美味しいです!
ヒダ側を軽く焼いて、次はヒダを上にしてしっかり火を通します。
ヒダの間から水滴が出てきたら食べ頃です。
しょう油や塩を掛けてお召し上がりください。
ご家庭で市販品を網焼きにする場合は、しいたけが乾いている場合が多いのでさっと水にくぐらせてから焼くのがおすすめです。
しいたけの天ぷら
しいたけは油料理との相性がいいです。
油がしいたけを包み込み、水分の蒸発をおさえるのでプリプリ感が残ります。
特に肉薄のしいたけは油を使った料理がおススメ!
しいたけの賞味期限
しいたけに限らず、現在のところ生鮮きのこ類に賞味期限を表示する義務はありません。
野菜と同じ青果物の扱いになるからです。
ですので、しいたけの劣化は見た目や匂いで判断しましょう。
色で劣化を判断する
濡らしていないのにカサが水を吸ったように黒っぽく湿ってきたら、劣化が始まっている合図です。
また、同様にしいたけの傘裏のヒダが黒っぽくなってくるのも劣化が始まっています。
そういった状態のしいたけを触ると、はりが無くふにゃふにゃしているので、判断可能です。
※しいたけの品種や栽培環境により色味に多少の違いがあります。
匂いで劣化を判断する
劣化したしいたけはつーんと蒸れたような匂いがします。
人によっては『玉葱臭』と表現します。
しいたけの保存方法
生しいたけは冷蔵庫で保存するのが一般的ですが、すぐに使わない場合は冷凍保存や乾燥保存することも可能です。
- 冷蔵保存
- 冷凍保存
- 乾燥保存
それぞれの方法を詳しく紹介します。
冷蔵保存
しいたけは冷蔵で1週間程度持ちます。
ただし、どの流通を経て何日で食卓まで届いたのかは普通は分かりませんので、購入後は出来るだけ早く使い切りましょう。
基本的には販売されているパックのまま冷蔵庫で保管してください。
尚、ラップ包装などでパック内が結露している場合は、水分により劣化してしまう可能性があります。
その場合は、1度取り出し水分を拭きとってから、再びトレーに戻しラップして保存してください。
冷凍保存
しいたけの冷凍保存は家庭で簡単に実践出来ます。
石づきを取って、調理に使いやすい大きさにカットしてから冷凍庫で保存しましょう。
半日程度で冷凍しいたけの出来上がりです。
冷凍することで事でしいたけの細胞壁が壊れ、栄養素や味が溶け出しやすくなると言われています。
尚、冷凍したしいたけは必ず解凍せずに調理に使って下さい。
解凍するとドリップが出て、グチャッとした”かわいそうなしいたけ”になってしまうためです。
しいたけの冷凍方法について詳しくはこちら↓
乾燥保存
しいたけは昔から乾燥保存され、『干ししいたけ』としても流通してきました。
昔は、網やザルに乗せ天日に当てて自然乾燥していましたが、現在の生産現場では熱風に当てて乾かす”機械乾燥”が主流です。
家庭では、日中の太陽に当てて数日かけて自然乾燥しましょう。
夜間や雨の時は屋内に入れるのを忘れないでください。
出来上がった干ししいたけは湿気に弱いので、シリカゲルなどの乾燥剤と一緒に外気に触れない様に密閉し、出来るなら冷蔵庫で保管します。
しいたけは乾燥する事で細胞壁にヒビが入り、栄養や旨味が溶け出しやすくなります。
そのため、ダシ取りには干ししいたけを使うのが一般的です。
また、しいたけに含まれるエルゴステロールは、天日に当てる事でビタミンDに変わります。
30分天日に当てるだけでも効果があると言われているので、余裕がある時は調理前に外に干すようにしましょう。
干ししいたけの戻し方
干ししいたけは水戻ししてから調理に使います。
この際、5℃の冷水でじっくり戻すとグアニル酸がたくさん生成され、一番美味しいとされています。
そのため、冷蔵庫の中で5~10時間かけて戻すようにしましょう。
干ししいたけの戻し方手順
- 干ししいたけをさっと流水で洗いほこりや汚れなどを落とす
- 袋や容器に干ししいたけを入れ、ひたひたになるくらいまで水を入れる
- 容器ごと冷蔵庫に入れ、しいたけの厚みに応じて5~10時間かけてじっくり戻す
お湯戻しはなぜ良くない?
お湯に干ししいたけを浸けておけば、戻し時間は20~30分程度ですみます。
しかし、干ししいたけを戻してから加熱した後のグアニル酸量は、冷水では160mgも生成されるのに対し、常温水では20mg、温水戻しでは0.5mgしか生成されません。
しいたけを美味しく食べたいなら冷水で戻しましょう。
しいたけの美味しい戻し方について、詳しくはこちら↓
しいたけの栽培について
昔のしいたけ栽培は、『ナタ目式栽培』といって切り倒した木にナタで切り込みを入れ、しいたけの菌が飛んでくるのを待つ自然任せな方法でした。
失敗すれば一文無しで、一家離散の憂き目にあう博打的なものだったそうです。
それを見ていた森 喜作さんが、将棋の駒をヒントにしいたけの菌糸を木材に蔓延させた”種コマ”を開発し、安定したしいたけ栽培が出来るようになりました。
森喜作さんが創業した森産業株式会社は、今もきのこの種菌メーカーとして国内トップシェアを誇ります。
現代のしいたけ栽培方法には『原木栽培』と『菌床栽培』があります。
原木栽培が古くから栽培されてきた方法で、菌床栽培が比較的新しい栽培方法です。
菌床栽培とは
菌床栽培は、オガクズを米ぬかなどの栄養源と一緒に混ぜたて練り固めた『菌床ブロック』に、しいたけの種菌を繁殖させて栽培する方法です。
菌床ブロックには円柱形や直方体、横長の円柱など色々な形があります。
菌床栽培の利点は、大量生産に向くところ、栽培日数が短いこと(約3~4カ月)、施設栽培に向き天候に左右されないで栽培できるため安定生産・安定出荷しやすいところです。
日本で流通する生しいたけの約9割は菌床栽培品で、今日いつでもどこでもしいたけを買って食べられるのは菌床栽培技術が発達したおかげと言えるでしょう。
菌床栽培しいたけは原木栽培のしいたけに比べて形が揃いやすく、スーパーさんや八百屋さんで販売しやすいという、販売側のメリットもあります。
風味や味は原木しいたけに負けると言われることもありますが、あっさりしていて食べやすく、菌床しいたけなら食べられるという人もいます。
原木栽培とは
原木栽培は、適度な長さに切った原木(ホダ木)に、しいたけの種コマを打ち込んで栽培する方法です。
主に山の林内やハウスで栽培しています。
原木栽培しいたけの生産者は現在減ってきており、原木しいたけは希少な物となってきています。
減っている背景には、栽培日数が長く掛かり資金の回収に時間が掛かる事、重い原木を運ぶなどの労力が掛かる事、原木栽培は天候や気温に左右されやすく安定供給が難しい事。
また、栽培が容易な菌床しいたけ栽培に切り替える農家さんが増えていることなどが挙げられます。
しかしながら、原木栽培の良い所は森林を守る農業だと言うところです。
原木を適度に伐採する事で森に日光が入り新しい木の芽が育ちます。
完全にしいたけ菌に分解されたホダ木は、また土に戻って森林の栄養となります。
原木栽培は循環し森林を守る農業なんです。
伊豆の原木農家さんは、『俺達が山を守ってるから伊豆は海も栄養が豊富なんだ』と原木栽培に誇りを持っていました。
今後もぜひ残っていってほしい栽培方法だと思います。
原木栽培と菌床栽培について、さらに詳しくはこちら↓
家庭でできるしいたけ栽培キットが人気!
家庭で栽培できるしいたけ栽培キットが流行っているのをご存知ですか?
しいたけ菌が蔓延した状態の菌床ブロックが自宅に届き、 乾燥しないように霧吹きなどで水をあげるだけで、1~2週間程度でしいたけがニョキニョキ生えてくる栽培キットです。
他のきのこの栽培キットも販売されていますが、個人的にはしいたけが一番栽培しやすいと思います。
自分で栽培すると、しいたけがとてもかわいく見えてくるから不思議です。
もちろん収穫したしいたけは食べる事ができます。
収穫したてのしいたけは水分を含んでいて、網焼きするとジューシーで美味しいです!
しいたけ栽培キットの栽培レビューはこちら↓
しいたけの栄養
しいたけの栄養成分についてまとめました。
しいたけのカロリー(可食部100gあたり)
きのこ類/しいたけ/乾しいたけ/乾 | 258kcal | |
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きのこ類/しいたけ/乾しいたけ/ゆで | 40kcal | |
きのこ類/しいたけ/生しいたけ/菌床栽培/生 | 25kcal | |
きのこ類/しいたけ/生しいたけ/菌床栽培/ゆで | 22kcal | |
きのこ類/しいたけ/生しいたけ/菌床栽培/油いため | 65kcal | |
きのこ類/しいたけ/生しいたけ/原木栽培/生 | 34kcal | |
きのこ類/しいたけ/生しいたけ/原木栽培/ゆで | 27kcal | |
きのこ類/しいたけ/生しいたけ/原木栽培/油いため | 84kcal | |
きのこ類/しいたけ/乾しいたけ/甘煮 | 116kcal | |
きのこ類/しいたけ/生しいたけ/菌床栽培/天ぷら | 201kcal |
※日本食品標準成分用2020年版(八訂)から抜粋
しいたけは100gあたり25kcalと、低カロリーな食材です。
ただ、気をつけなければいけないのは油料理。
しいたけは天ぷらや炒め物などにするととても美味しいですが、油自体が高カロリーですので、ダイエット時は焼きしいたけやスープ、煮物などで食べましょう。
干ししいたけは100gあたり258kcalです。
生しいたけに比べるとおよそ10倍ですが、これはカロリーが増えたわけでは無く、水分が飛んでしいたけ自体の重さが軽くなった為です。
エリタデニン
しいたけに含まれるエリタデニンは血中コレステロール量を低下させる作用があり、動脈硬化の予防が期待されています。
ビタミンD
しいたけを日光に当てることで、エルゴステロールという成分がビタミンDに変わります。
30分~1時間程度天日干しするだけでOKです。
ビタミンDは、カルシウムと一緒に摂る事で骨粗鬆症を予防する効果が期待できます。
食物繊維
しいたけに含まれる食物繊維は、体内に吸収されようとしている脂肪を包み込み体外へ排出し、腸の働きを活発にします。
レンチナンとβ -Dグルカン
しいたけに含まれるレンチナンとβ -Dグルカンは、免疫力を活性化する効果が期待されています。
干ししいたけの名称
市販されている干ししいたけには、規格や採れた時期により独特な名称が付けられています。
一部ご紹介します。
傘の大きさ、巻き込みによって付けられる名前
冬菇 (どんこ) |
肉厚でカサが閉じた乾燥椎茸。『高級しいたけ』として流通する |
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香菇 (こうこ) |
冬菇の大きい物。ちなみに大相撲で優勝力士に送られる乾燥椎茸は香菇 |
香信 (こうしん) |
カサが開いて、薄いしいたけを乾燥した物。冬菇に比べると戻し時間も短くすみ家庭で使いやすい |
しいたけが採れた時期によって付けられる名前
寒子 (かんこ) |
1月頃に採れたしいたけを乾燥した物。寒さのためゆっくり大きくなるので肉厚になりやすい |
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藤子 (ふじこ) |
藤の花が咲く頃(4~5月)にとれたしいたけを乾燥した物 |
梅雨子 (つゆこ) |
梅雨の時期に発生したしいたけを乾燥した物 |
春子 (はるこ) |
春に発生したしいたけを乾燥した物 |
秋子 (あきこ) |
秋に発生したしいたけを乾燥した物 |
傘についたひび割れの模様で付けられる名前
天白冬菇 (てんぱくどんこ) |
冬菇のカサの表面に白色の亀裂が走っているもの |
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花冬菇 (はなどんこ) |
冬菇のカサの表面に白色・茶色の亀裂が走っているものの総称 |
茶花冬菇 (ちゃばなどんこ) |
冬菇のカサの表面に茶色の亀裂が走っているもの |
天白香菇 (てんぱくどんこ) |
香菇のカサの表面に白色の亀裂が走っているもの |
しいたけの動画ギャラリー
しいたけ栽培キットが育つ様子をタイムラプス動画にしました。
原木しいたけ栽培キットの定点観測動画です。
原木しいたけ栽培キットから胞子が舞う様子。
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