こんにちは。きのこのかわいさ知らしめたい!ちょこすき~☆です。
気候のよい時期のレジャーはどこに行こうか迷いますね。そんなあなたにきのこ観察をおすすめします。
今日は日本のきのこの王様マツタケに会いに行きましょう。普段はきのこを眺めて愛でるだけの私も、さすがのマツタケにかかっては食い気が優ってしまいます。ということで、食としてのマツタケにも焦点を当てていきたいと思います!
マツタケってどんなきのこ?
マツタケは日本人なら誰もが知るきのこですが、どんな形でどんな特徴なのか実はよく知らない……という方、結構多いのでは?食べたことがあっても、調理済みでスライスされていたりするとわからないですよね。
マツタケは以下の特徴を持っています。
- 全体的に褐色で表面は繊維状
- 傘は8~20cm
- ヒダは白いが古くなると褐色のしみができる
- ツバがある
- 独特の香りを持つ(マツタケオール)
もし丸ごとのマツタケを手に入れたらぜひ食べる前に観察してみてくださいね。日本で流通するのは傘が開く前の幼菌がほとんどなので、ツバやヒダの様子などを観察しづらいかもしれません。というか、マツタケにツバがあること知らない方が多いのでは?
傘が開いたものは香りが落ちるとか、逆に傘が開いた方が香りも味もいいとか、いろいろな説がありますが、傘が開く前の方が「マツタケらしさ」があり高級とされるようです。ちょこすき~☆個人としては、傘が開く前の方が食感が固く締まり、流通のために都合がよいからではないかと思っています。傘が開いているのだと壊れたり鮮度が落ちやすいですもんね。
マツタケはいつ・どこで会えるの?
秋にアカマツやコメツガなどの針葉樹の根元に出ます。 あまり若い木には出ず、また老木にも出ません。
マツタケはほとんどが地中に埋まっており、傘の部分だけが見えます。その傘も落ち葉に埋まっていることが多いので、見つけることが困難です。また、マツタケの出る場所(シロと呼ぶ)はそのシロの持ち主がいれば夜明けとともに採取に向かいますので、日が昇ってから通っても当然ありません。散策に出かけてたまたま見つけることは基本的にないと言えるでしょう。
採取禁止の場所でなら、遅い時間でも観察ができるかもしれません。それでもマナーの悪い人間はいるもので、採取禁止場所でも採っていってしまう人がいるのは事実です。国立公園等は自然保護の観点から絶対に採取はやめましょう。とっていいのは写真だけ!
マツタケはどうして高価なの?
マツタケは、栽培ができないことが高価になってしまう一番の要因だと思います。栽培ができないか研究がされていますが、マツタケはそれが大変難しいのです。
また、さきほど触れたとおりに探すのが困難であることも一因です。
マツタケはなぜ栽培ができないのか
きのこはおおまかに菌根菌と腐生菌というタイプのきのこに分かれます。マツタケは菌根菌というタイプのきのこです。
菌根菌とは、生きた木と共生関係にあるきのこのことで、腐生菌は草木を分解して成長するきのこのことです。腐生菌はオガクズなどを分解するので人間が用意した環境でも栽培できますが、菌根菌は生きた木のそばでしか生きられないため栽培ができません。
きのこの基本や菌根菌についてイラストで解説した記事はこちら↓
腐生菌と菌根菌について詳しく説明するとかなり専門的になってしまうので、ここでは端折ります。ちょっと難しいですが気になる方は調べてみてくださいね!自然環境にとって菌類がとても大切だと実感できると思います。
マツタケが採れる場所が年々減っている
マツタケはかつては日本中でたくさん採ることができました。それが年々収穫量が減っています。自然環境の変化が大きな要因です。
自然環境の変化……というと、「自然破壊が原因だ!」とみなさん思いますよね?
違うんです。
実は、山が豊かになったからマツタケが減っているんです!
どういうことか?順を追って考えていきましょう。
まず、マツタケはとても弱い菌だということを知っておかねばなりません。弱い菌は、他の菌類がいると競争に負けてしまいます。そのためマツタケには、他のきのこが生えないような痩せた土地の方が都合がいいのです。
昔の日本は山から木を伐りだして建材や薪として利用していました。経済が発展し人口が増えるに従い使用する木材も増え、樹木を過剰に伐採された山は「はげ山」になります。そんな荒廃したはげ山に緑が戻るプロセスの最初に生え始めるのがアカマツです。(先駆植物・パイオニア植物といいます)そのアカマツと共生するきのこがマツタケなのです。したがって、樹木を伐採し過ぎて荒廃した山が多かった昔はアカマツ林も多く、痩せた土地で他の菌類との競争もないためマツタケがたくさん採れたのです。
どうです?環境保護が謳われ、エネルギーが石油や電気に切り替わった現代で、薪を取り過ぎてはげ山になっているところなんて、見かけませんよね?
現在では森が豊かになり、樹木の種類も多くなり、それにともなって多くのきのこが発生します。そんなところではアカマツが生えていても、マツタケは競争に勝ち抜くことができません。マツタケが少なくなったのは、森が豊かになったからなのです。
また、マツ枯れと呼ばれる伝染病(マツ材線虫病)によるアカマツの枯死なども一因かもしれません。
環境保護とは、生物多様性の保護とは、一方向だけではいけないのだなと考えさせられるマツタケの生態です。
マツタケ狩りの作法
どこに行けばいい?
マツタケはどこでも採っていいわけではありません。採れる場所は決まっています。マツタケだけでなく他のきのこも同じですので、探す前によく調べておかなければなりません。勝手に採取すると場合によっては警察沙汰になります。本当だよ!
基本的に公園はダメ
→特に国立公園は自然保護の観点からダメ、ゼッタイ!
私有地はダメ
→不法侵入になります。いなかの山は私有地が多い。
その他採取禁止の表示のある場所はダメ
→看板がなくても禁止されているかもしれません。
富士山は採取自粛要請
→放射線量が高いことによる自粛を求められています。
放射性物質の影響は30年後や40年後に現れます。軽く考えないこと。
採取してもいいのは、上記以外の場所や自分の土地です。
えーーー!採れるところないじゃん!!
……っていう方も安心してください。
マツタケ狩りは人気なので、収穫を体験できる場所がたくさんあります。マツタケ料理を出している飲食店だったり、旅館やペンションだったり、販売店だったり、いろいろな業態があります。地域によって異なりますが、だいたい9月~10月に予約制でマツタケ狩りができます。予約はすぐに埋まってしまうので、行きたい場所が見つかったら夏ごろ早めに情報をチェックしておきましょう。
マツタケ狩りができる場所は「マツタケ狩り 体験 地域」で検索すればいくつか出てきます。お店によって料金体系が異なりますが、注意しなければいけないのは料金は「入山料」の意味であることが多いということです。入山料とは山に入る権利のことで、マツタケが採れても採れなくても発生する料金です。そして、採れた場合でも持ち帰りたいなら別料金での買取になるケースが多いです。ココ、要注意!!
また、入山料は高いけれど料金内にマツタケお土産付きだったりマツタケ料理がついている場合もあります。条件をよーーーく読んで納得してから予約してくださいね!
どうやって見つける?
はっきり言って、素人には無理です!(断言)私も無理です。この辺に出るよーって教えてもらってようやく見つけられるレベルです。
アカマツなどの根元を探すのですが、マツタケはほとんど土の中に埋まっているためとても見つけづらいです。落ち葉がすこし膨らんで見えるところがあるらしいのですが、傘の一部がほんの少しのぞいているだけだったりするので、一般人にはまず無理ですね(笑)有料でマツタケ狩りに行った場合にはコツを教えてもらえるので、素直に名人に従いましょう!
難しすぎるため、みんなが見つけられるように「仕込み」でマツタケを目立つところに置いておいてくれているお店もあるようです。親切なサービスではありますが、私ならやはり自然に生えている状態を観察したいなぁと思います。
どうやって採る?
有料マツタケ狩りでは必ずスタッフさんの指示に従いましょう。当たり前のことですが、いざマツタケを目の前にすると興奮して色々なことが頭から吹き飛んでしまうことがあります。
まずは、落ち着きましょう!
マツタケの周りの土だけ慎重に掘る
できるだけ穴が広がらないように掘る
ゆっくり慎重に引き抜く
抜いた後の穴は埋め戻す
すべてを採りつくさない
マツタケはとても弱い菌ですから、乱暴に扱ってしまってはその後生えなくなってしまいます。ルールを守って採りましょう。
焦らず!やさしく!丁寧に!
それから、どうしても早く採取したくなるとは思いますが、落ち着いて観察してマツタケのかたちを愛でてほしいなと思います。もし、それがマツタケではなかった場合に、よく観察すれば違いに気づくことができます。
思い込みで間違えて毒きのこを採取して中毒する事例が毎年発生しています。食目的採取は目が曇るのですよね。きちんと観察しましょう。
マツタケファミリー
マツタケによく似たきのこがいくつかあります。どれも見つけづらいきのこのため残念ながら私はまだ出会ったことがありません。
- バカマツタケ
- マツタケモドキ
- シロマツタケモドキ
- ニセマツタケ
バカマツタケは一説にはマツタケより香りがいいと言われています。見た目もマツタケにとてもよく似ていますが、発生場所が広葉樹林で、時期もマツタケよりやや早く出ます。
マツタケモドキはマツタケより小型で時期は遅れて出るきのこです。香りは全くなく、「マツタケのオバサン」という地方名があります。なんでオバサンなんでしょうね?
シロマツタケモドキはマツタケモドキによく似ていて、全体が白いきのこです。若干のマツタケ臭があるものの癖のある香りを持つそうです。
ニセマツタケはバカマツタケと同じく雑木林に生えマツタケより早く出るのですが、香りがありません。
マツタケのなかまのお勉強が済んだらこちらのクイズに挑戦!
なお、「松きのこ」の商品名で市販されている、マツタケとシイタケを掛け合わせたという触れ込みで、危険な生食を勧めてしまっているきのこがあります。これは実は柄を長生させた品種のシイタケで、マツタケは1ミリも入っていません。誇大広告に当たると思います。また、生食はシイタケ皮膚炎という病気の原因になり大変危険ですので、しっかり過熱して食べる必要があります。シイタケとしてならとてもおいしいきのこなのに、過剰なプロモーションによりなんだかきな臭くなっていて残念ですねぇ。
あ、マツタケも生食は厳禁ですよ!!あたります。
おわりに・食べるなら買う方が経済的
マツタケは痩せた土地にしか発生しないため、マツタケの販売を業としている方の山では年がら年中落ち葉かきをして腐葉土ができないようにし、あえて土地を痩せた状態に保っているそうです。それだけの苦労をして収穫は秋の一時期だけですから、マツタケが高価なのもうなずけるところではないでしょうか。そんな苦労をして管理している山に勝手に他人が来てマツタケを採っていったら泥棒です。警察沙汰になるのは当然です。
ただ単に食べたいだけなら、採ってもいい土地なのか調べるのは手間だし、交通費や宿泊費がかかるし、入山料を払っても見つかるかわからないし、違うきのこを間違えて採取してしまったり、場合によってはケガをするリスクを背負ってまで山に行くことにこだわるより、正直言ってお店で購入した方が経済的です。
名人でもない限り、マツタケ狩りで一攫千金など夢のまた夢であることを肝に銘じておきましょう。
観察目的ならいくらお金がかかっても、自力で見つけられたうれしさに勝るものはありませんね!大変見つけづらいきのこですのでプロに教えてもらうのが近道ですが、根気よく探せば自力で見つけられることもあるかもしれません。頭がぴょこっと出ているのを見つけられたら、かわいくて愛おしくなりますよ!
きのこのかわいさ知らしめたい!きのこってかわいい。きのこってふしぎ。きのこっておもしろい。みなさんもきのこの王様マツタケに会えるといいですね。
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