知らずに損しているかも?!ぶなしめじの正しい切り方

先日、関東きのこの会のお問い合わせフォームに、こんな質問が寄せられました。

 

根元の部分をどこから切ればよいのかよく分からなくて、いつもぶなしめじが短くなっちゃうんです。
本当はどこから切れば良いんですか?

 

確かに、ぶなしめじって軸の半分くらいまでしっかりくっついているので、ばらせるところで切ろうと思ったら軸が短くなってしまうんですよね。

思い当たる方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。 

しかし、ぶなしめじは軸部が特に美味しいきのこです。

そこを短くしてしまうのは非常にもったいない!

ということで、今回は『ぶなしめじの石づきはここで切る』というポイントをご紹介したいと思います。

最初に結論からお伝えしましょう。

ぶなしめじは根元の菌床部(きんしょうぶ)さえ切り落とせば、後は全部食べられます!

一番根元の色が違うところだけ切り落としてご利用ください。

ぶなしめじの正しい切り方

 

目次

ぶなしめじの構造を確認してみよう

まずは、ぶなしめじの構造を確認していきましょう。

市販されているぶなしめじを手でぱかっと割って、断面を観察してみました。

大体下記5つの部分に分けられます。

ぶなしめじの構造

  1. カサ
  2. 分離した軸上部
  3. くっついている軸下部
  4. 茶色い線
  5. 菌床部(きんしょうぶ)

 

菌床部とは?

菌床(きんしょう)は、オガクズやトウモロコシの芯などを練り合わせて作ったきのこの培地のことで、野菜にとっての土のようなものです。

きのこの菌糸は菌床を分解することで栄養を得て成長し、やがて子実体(しじつたい)という胞子を撒くための器官を作ります。

この子実体こそが、私たちが『きのこ』と呼んで食べている部分なのです。

ぶなしめじの『菌床部』とは、収穫する際にくっついてきた菌床のことを指します。

 

ぶなしめじ株元の茶色い線は何?

市販されているぶなしめじの多くは、プラスチックのビン(菌床ビン)で栽培されています。

ぶなしめじの根元についている茶色い線は、菌床ビンのフチが当たっていた痕跡です。

栽培中のぶなしめじ:幼菌

栽培中のぶなしめじ:幼菌

 

ぶなしめじの正しい切り方

ぶなしめじの軸は完全に分かれて独立しているわけではなく、真ん中くらいから下側はくっついています。

これを包丁の1カットでパサッとほぐそうとすると、ぶなしめじが短くなってしまうんです。

極端に言うと、可食部の半分位を捨てている感じ。かなりもったいないです!

おそらく冒頭の質問者さんもこの状態でしょう。

しかし、実際に食べられないのは菌床部のみで、軸同士がくっついている部分はもちろん食べられます。

このことを踏まえ、ぶなしめじを切るべき場所は・・・

ずばり茶色い線の付近です!

菌床部だけを切り落とすイメージでカットしてください。 

 

ぶなしめじのカット手順

  1. 手で株を半分に割ります。
  2. 割った面を下にして、まな板に置きます。
  3. 茶色い線に近いところを切り落とします。

    ぶなしめじの正しい切り方

 

カット断面。

軸はくっついていますが、菌床部は取り除かれているのが分かります。

ぶなしめじのカット断面

 

あとは手で簡単にほぐすことができますよ。

ぶなしめじほぐし

 

石突さえ切り落とせば後は可食部ですので、出来るだけ根元に近い方で切ると覚えていただければ幸いです。

 

余談:市販のぶなしめじにもいろいろある

今回は市販のぶなしめじをカットモデルに使用しました。

しかし『市販のぶなしめじ』と一口に言っても、実は何種類かあります。

最後に簡単にご紹介させていただきましょう。

 

まずは一番オーソドックスなパック売りのぶなしめじ。

100gに計量してパックしたものと、株のまま採取してそのままパックした株採りが売られています。

ぶなしめじ 100gパック
ぶなしめじ 株採り
左:100g、右:株採り

 

栽培中のぶなしめじ。

栽培中のぶなしめじ

このぶなしめじを、菌床ビンからスポッと採ってそのままパックしたのが株採りパック、100gサイズに割ってパックするのが100gパックです。

ちなみに、菌床ビンの容量や口径は生産者さんによって異なります。

そのため、同じ株採りパックでも、産地によって大きさや重量にずいぶん差があったりします。

 

市販パックを開封!

ぶなしめじはカサに大理石模様があるのが特徴です。

よく見ると、とてもきれいなんですよね!

ブナシメジの模様

 

こちらはカサも白い『白ぶなしめじ』

ブナピー(白ぶなしめじ)

ホクトさんのブナピーが有名です。

もちろん、普通のぶなしめじと同じような調理法で食べるのも良し。

また、白色を活かして澄まし汁などに使ってもきれいですし、食紅で色を付けてカラフルきのことして楽しむこともできます!

ブナピーカクテル

キノコナイトVol.5というイベントで提供されたブナピーカクテル

 

白ぶなしめじは海外進出もしていまして、ベトナムでは『白玉菇(white bunashimeji mushroom)』というラベルで販売されていました。

 

最近はカット済みのぶなしめじも市販されている

こちらはすでにほぐされた状態で販売されている『カットぶなしめじ』

カットぶなしめじ

切る手間が省けて楽なので、以前から加工食品会社や給食、外食産業などで好んで使われてきましたが、今ではスーパーでもすっかり市民権を得た感じ。

やっぱり便利ですもんね!

知り合いの生産者さんのところでは、特殊な栽培方法で一般的なぶなしめじより軸が長くなるように育て、機械で一気にスパッと切っているそうです。

効率的~!

 

ぶなしめじの正しい切り方、のまとめ

  • ぶなしめじは菌床部さえ切り落とせば後は全部食べられます
  • 茶色い線(菌床ビンの痕)を目安にカットしてください

 

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この記事を書いた人

露木 啓(つゆきのこ)のアバター 露木 啓(つゆきのこ) 関東きのこの会 代表

『“キノコ”といったら露木までっ!』
元きのこ問屋の営業マン。
生産者さんからきのこを仕入れ、主に関東のレストランや生協さん、自然食品さんに卸す仕事をしていました。
また『きのこのじかん』という情報発信サイトできのこ記事も書いていました。
今は職業きのこから離れ、趣味としてきのこと付き合っています。
主に土日に散策してきのこを撮ったり。
また、きのこの歌を作詞作曲し歌っています。

・ベーシックきのこマイスター
・ヨコハマきのこ大祭実行委員

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