神奈川県の中西部にある私の自宅には、時々きのこが生えます。
今回は、その中で特に印象深かった3つのきのこを紹介させていただきます。
- ツマミタケ
- スッポンタケ
- シロフクロタケの仲間
・・・なぜか臭いきのこに縁があるようです。
ツマミタケ(5~6月の梅雨時期)
梅雨に入ったある日、家のヒマワリ畑に奇妙なきのこ『ツマミタケ』がニョキっと生えてきました。
白い卵状のツボからピンク色掛かった軸が長く伸び、先っぽは真っ赤。
この赤い頭部(グレバ)が成長すると指をつまんだような形状になることから、ツマミタケと言うようです。
畑からツマミタケが数本にょきにょき生えている様子はとても奇妙で、形や色からして『本当に自然に生えたものなのか?』と疑ってしまいたくなるほど異物感満載でした。
ツマミタケの周囲を観察すると白い卵状のものがぽつぽつ埋まっています。
これ、もしかしてツマミタケの卵?!
せっかくのチャンス、家の敷地内だし誰も触らないだろうという事で、定点観測カメラで成長の様子を撮影してみました。
録れた動画がこちらです。
1日で卵からピークまで成長し、次の日にはくたっと萎れていく驚くべきツマミタケの成長スピードがばっちり動画に収められていました。
ちなみに、こういったグレバを持つきのこ達は、匂いで虫を呼び寄せて胞子を運んでもらう繁殖方法を取っているため臭い子が多いんです。
ですが、なぜかうちのツマミタケは思ったほど匂いが気になりませんでした。
『きのこの女王』と呼ばれるキヌガサタケもグレバを持つ臭いきのこ↓
ツマミタケは、翌年も全く同じ日に同じ場所に生えました。
スッポンタケ(11~12月)
2つ目は11月の寒い時期に、やはりヒマワリ畑に生えたスッポンタケ。
ツマミタケが生えていたのとまったく同じポイントに生えてきました。
うちの畑には、臭いきのこの大好物が埋まっているのかもしれません。
言うまでもなく、名前の由来はスッポンの頭の形状に似ているから。
ただ、この時は子供が見つけたのですが、私が駆けつけたときには白い軸だけがピーンと生えていてスッポンの首に当たるグレバはそばに落ちていました。
とりあえず軸にグレバをスポっと乗せて(偽装工作)SNSにアップ。
この辺が現代人だなぁと我ながら思います。
スッポンタケのグレバには胞子を含んだ粘液がついていて、強い臭い(人間には悪臭)を放ちます。
そして、その匂いで呼び寄せた虫たちに粘液を付着させて、胞子を拡散するという面白い生態を持っています。
裏庭の畑に生えたスッポンタケも相当臭かったです。
臭いのですが、なんとこのきのこ、食べられるそうな。
せっかく家の畑に生えた事だし、これも経験だと言う事で料理してみることにしました。
まずは臭いの元であるグレバに付着した液体をしっかり洗い流します。
水で洗うとグレバは真っ白に。
粘液が黒いのであって、グレバ本体は白いんですね。
臭みを消すために沸騰したお湯で茹でていきます。
うう、湯気まで臭い。
生ごみの様な臭いがキッチンに立ち込めます。
湯通ししたお湯を捨て、新しい水に変えて再び煮込みます。
今回は中華ダシを使い簡単中華スープにしました。
湯通ししている事もあり、旨味はあまり強くないですが軸はシャクシャクした食感でなかなか美味しいです!
不思議な食感。
次にグレバ部分もいってみます。
恐る恐るひと噛み。
う、臭い!吐きそう・・・
湯通ししてもダメでした。
噛むと何とも言えない臭みが鼻に抜けていきます。
教訓:スッポンタケのグレバは食べない方が良い
軸は独特の食感で美味しいので、次回スッポンタケを食べることがあったら、軸だけ調理するようにしようと思います。
ちなみに翌週も同じ場所に生えました。
シロフクロタケの仲間(4~5月)
春、家の畑から白いきのこが顔を出していました。
僕が真っ先に思い浮かべた名前はドクツルタケです。
その名の通り人が死ぬほどの猛毒を持っているのですが、一方で純白で可憐な見た目をしていて、とても人気があります。
その人気ゆえに名前を聞く機会も多く、天然きのこに興味を持ち始めた頃に、こんな印象を頭の中に作り上げてしまった方も多いのではないでしょうか(たぶん)。
天然の白いきのこ⇒ドクツルタケ⇒危険!
ドクツルタケについては、こちらの記事で詳しく紹介しています↓
まさにその状態で、露木も白いカサをみた瞬間に
『おおっ、これは”殺しの天使”ドクツルタケでは?!』
と人気のきのこに出会えたことを喜んだのですが。
写真を見た菌友さん達から、違うきのこだと教えていただきました。
4~5月と言うのもドクツルタケが生えるには少し早く、おそらくシロフクロタケの仲間だろうとのことです。
翌日、傘が開いて来た状態がこちら。
カサの形状はトンガリ帽子みたいで、軸は少し茶色がかって来ました。
また、ヒダの色はピンクっぽく、確かにドクツルタケとは特徴が異なります。
もしシロフクロタケだとしたら一応可食のきのこです。
ただ、露木が勘違いしたドクツルタケは死んでしまうほどの猛毒きのこですし、万が一が怖いので食べようとは思いません。
露木くらいの知識では、やはり白い天然きのこは食べない方が無難でしょう。
(皆さんも、天然きのこの判別にはくれぐれも慎重に)
きのこの成長が気になって夜ライトをつけて見に行ったら、大量のナメクジ付いていました(写真の掲載は自粛します)。
結局、成菌になる前にほぼ食べつくされていました。
これでは、胞子を撒く暇も無かったのでは・・・
ちょっと儚いと思っていたら、菌友がすてきな言葉をかけてくれました。
『胞子が成熟していたら、ナメクジの糞に混じって散布されているかもしれませんよ。
胞子は案外丈夫らしいですから』
こちらの記事で、いろいろな胞子の撒き方を紹介しています↓
オオシロカラカサタケ(7~10月)
これは家の敷地内ではないので、おまけということで。
愛犬ペンタの散歩コースに生えていたオオシロカラカサタケ。
堆肥などから生えるきのこで、家の周囲が畑地帯だからか夏~秋頃に割とよく見かけます。
結構大型になる、なかなか見ごたえのあるきのこです。
幼菌時はこんな感じの饅頭型で、人の顔に見えることも。
ちなみにオオシロカラカサタケは毒きのこで、よく中毒事件が起きてニュースになっています。
美味しそうに見えるのか、食べてしまう人がいるらしいんです。
厚生労働省が呼びかけている『食用と確実に判断できないキノコは採らない!食べない!売らない!人にあげない!』を、もっと広く知ってもらった方がよさそうです。
この他、私の家にはキツネノタイマツやツバキキンカクチャワンタケ、シバフタケなどが生えた事があります。
アミガサタケとか、ササクレヒトヨタケも生えないかなぁ、なんて妄想しつつ。
(今年はSNSで庭にアミガサタケが生えたという投稿をよく見かけました)
今後も家の庭でどんなきのこに出会えるか、楽しみです!
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