ヤマブシタケ(山伏茸)はダシが美味しいモジャモジャきのこ!スープや炊き込みご飯に最適です

このもじゃもじゃした物体は何かご存知ですか?

ヤマブシタケ(山伏茸)

 

実はこれ、ヤマブシタケ(山伏茸)というきのこなんです🍄

長野県や山形県で人工栽培され市場流通もしているので、見たことがある人も多いかもしれませんね。

山形県産はこのパッケージで売られています。

ヤマブシタケ(山伏茸)

山形県産のヤマブシタケはパッケージが可愛い

 

ということで今回はモジャモジャきのこ、ヤマブシタケをご紹介します!

 

目次

ヤマブシタケ(山伏茸)とは

ヤマブシタケは秋頃、広葉樹の樹上に発生するきのこです。

カサと軸を持つ椎茸やエノキ達とは一線を画す形状をしている、いわゆる『変り種きのこ』で、初見ではきのこと分からない人も多々いらっしゃることでしょう。

名前の由来は山伏の衣装の胸飾り(結い袈裟)にそっくりだから。

うーん、確かに!

 

ヤマブシタケは今でこそ栽培方法が確立されスーパーやネット通販などで入手できるようになりましたが、それ以前の天然物は大変貴重なものとされていました。

見つけることが難しいので『幻のきのこ』とも呼ばれ、中国では中華料理の四大山海珍味の一つにも数えられています。

 

そんなヤマブシタケは、工場で栽培されるくらいなので食菌としてもとても優秀、つまり美味しいきのこです!

ヤマブシタケ(山伏茸)

ヤマブシタケの栽培の様子

 

良いダシが出るのでスープや炊き込みご飯に加えるとぐっと旨味が出ますし、食感は柔らかく具材としてもばっちり☆

また免疫力を高めると言われているβ-グルカンが豊富に含まれていること、そして物忘れを防ぐ効果が期待できるとされるヤマブシタケ特有のヘリセノンという成分を含んでいて、機能性でも今大注目のきのこなんです。

そのため、生鮮きのこだけでなく、乾物や加工品、サプリなどにも加工され販売されています。

ヤマブシタケの健康茶

ヤマブシタケの健康茶

 

ヤマブシタケの名前は動物シリーズ?!

先ほど、山伏の衣装のボンボンに似ているからヤマブシタケと名付けられたと紹介しましたが、実はこのきのこは他にもたくさんの俗称を持っています。

例えば地域によってハリセンボンウサギタケ🐇と呼ばれています。

 

これはヤマブシタケの生産者さんがたまたま見つけた天然ヤマブシタケ。

天然ヤマブシタケ

ウサギの背中にみえたのも納得? 

 

また中国では『猴頭茹(ホウトウクウ)』といい、こちらは猿の頭のきのこと言う意味。

英語圏では『ライオンの鬣(たてがみ)のきのこ(Lion’s Mane Mushroom)』『ハリネズミきのこ(Hedgehog Mushroom)』と呼ばれています。

なぜか動物に例えられる事が多いようですね(笑)

 

生鮮ヤマブシタケはスープが美味しい!

ヤマブシタケは上品で美味しいダシが出るのが特徴で、炊き込みご飯や汁物などの料理に向いています。

石突きを切り落とせば手で簡単にちぎれますので、一口大にカットして鍋や炊飯器に投入しましょう。

(産地によっては事前に石突がカットされているので包丁要らずでササっと調理できます)

ヤマブシタケは手で簡単に割ける

 

こちらはヤマブシタケのスープ。

ヤマブシタケのスープ

ラー油を入れた辛めのスープにしても合いそう

 

きのこの風味が濃厚に感じられ、フワッフワしたヤマブシタケの食感が美味しかったです!

またヤマブシタケはヘルシーなのに繊維質豊富でしっかりお腹にたまるので、満腹感も得られました。

 

ヤマブシタケは乾燥すると更に旨味が出る

昔から『きのこでダシをとるなら乾燥物の方が良い』と言われているのをご存知ですか?

これにはちゃんと理由があって、乾燥することできのこの固い細胞壁が壊れ、その中に閉じ込められていた旨味や栄養成分が溶け出しやすくなるからなんです。

 

以前、乾燥ヤマブシタケからどのくらいダシが出るか試してみたことがあります。

右のカップはぬるま湯、左のカップは水に浸しました。

乾燥ヤマブシタケ

 

ちなみになぜこの2つを比べたかと言いますと、乾燥椎茸はぬるま湯より冷水で時間をかけて戻した方が美味しいと実証されているためです。

 

--翌日--

 

あの白いヤマブシタケから出たとは思えないくらい濃い色のダシが出ていました!

乾燥ヤマブシタケの水戻し

 

一体この色素は普段どこに隠れているのでしょうね?

ちょっと指に付けてなめてみるときのこらしい風味がぶわっと舌いっぱいに感じられました。

しっかりダシが出ています!

 

水戻しとぬるま湯戻しでは、水出しの方が若干色が濃く見えます。

味も水出しの方が強めに出ていて深みがあるような気がしました。

(味音痴の露木の感想なので参考程度で)

とはいえ、ぬるま湯で戻した方も十分ダシは出ています。

 

乾燥ヤマブシタケの使い方

乾燥ヤマブシタケは水戻ししてから調理に使用します。

余裕がある時は冷水で2~3時間かけてじっくり戻すことをお勧めしますが、そこまで待てない時はぬるま湯で30分程度戻してから使っていただくのが良いでしょう。

もちろん戻し汁も美味しいダシですので、一緒に料理に使ってくださいね!

 

また、これはヤマブシタケの生産者さんに教えてもらったのですが、家庭用のミルミキサーで粉末にし煮物やスープに隠し味の様に使う方法もあるそうです。

ヤマブシタケパウダー

 

粉末にして密閉袋などで保管しておけば、お味噌汁などを作る時にぱっと入れるだけでダシや栄養が摂れるのでこりゃ便利ですね!

 

中華料理屋さんで出てきた乾燥ヤマブシタケ料理

以前、きのこ鍋が美味しい六本木の中華料理屋(シャングリラズシークレットさん)でヤマブシタケの唐揚げを食べた事があります。

ヤマブシタケのから揚げ

 

しっかりとした歯ごたえがあり、まるで鶏肉の様でした。

噛むたびに旨味が出てきてとても美味しかったのを覚えています。

お店の人に聞いたところ、乾燥ヤマブシタケを使っているから肉のような歯ごたえになるんだとか。

生の時はふんわりとした柔らかい食感が、乾燥すると鶏肉の様になるのは面白いですね!

うーむ、ヤマブシタケにはまだまだいろいろな調理法が隠れていそうです。

 

ヤマブシタケ(山伏茸)はダシが美味しいモジャモジャきのこ!のまとめ

ダシうまきのこ『ヤマブシタケ』について紹介しました。

今記事のまとめです!

  • ヤマブシタケは不思議な形をしているけど上質なダシが出る美味しいきのこ!
  • 炊き込みご飯やスープがおすすめ!
  • 乾燥するとより濃いダシが取れ、鶏肉のような食感になる

 

ヤマブシタケは品揃えの良いスーパーなどで売られていることもありますので、もし見かけたらぜひ一度調理にチャレンジしてみてください。

もし面白いレシピが出来たらこっそり関東きのこの会に教えてくださいね(笑)

 

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この記事を書いた人

露木 啓(つゆきのこ)のアバター 露木 啓(つゆきのこ) 関東きのこの会 代表

『“キノコ”といったら露木までっ!』
元きのこ問屋の営業マン。
生産者さんからきのこを仕入れ、主に関東のレストランや生協さん、自然食品さんに卸す仕事をしていました。
また『きのこのじかん』という情報発信サイトできのこ記事も書いていました。
今は職業きのこから離れ、趣味としてきのこと付き合っています。
主に土日に散策してきのこを撮ったり。
また、きのこの歌を作詞作曲し歌っています。

・ベーシックきのこマイスター
・ヨコハマきのこ大祭実行委員

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