キノコに付着する白い綿の正体とは。これって食べられますか?【イラスト解説】

稀にスーパーなどで購入したエリンギやブナシメジに、白い綿のようなフワフワしたものが付着していることがあります。

エリンギの気中菌糸
ブナシメジの気中菌糸
左:エリンギのカサに 右:ブナシメジの軸に

 

白い綿=カビの様にも見えるので、これが付いていると食べられるか心配になってしまいますが・・・

実は、この白い綿の正体は『気中菌糸(きちゅうきんし)』と言いまして、キノコの一部なんです。

ですので、これが付着していても問題なく食べられます!

気になる場合は、調理前に軽く濡らしたキッチンペーパーやふきんでさっと拭き取ってください。

今回はキノコに付着している白い綿『気中菌糸』が発生するメカニズムを、イラストを交えながら解説いたします。

※記事に登場するイラストは、きのこ女子のコイケハルカさんに描いていただきました。

 

目次

白い綿の正体は気中菌糸(きちゅうきんし)

ブナシメジやエリンギに付着する白い綿の正体は『気中菌糸(きちゅうきんし)』と言い、キノコの一部です。

 

なぜ気中菌糸は生えるのか【イラスト解説】

キノコは菌類に分類されている生物です。

普段は私たちからは見えないところにいて、木材・枯れ葉などを分解(つまり食事)しながら糸の様な菌糸(きんし)を伸ばし、養分を蓄え成長していきます。

キノコの栄養成長|気中菌糸のメカニズム

キノコの栄養成長

 

菌糸体が成長し、しっかり養分を蓄えると、今度は子孫を残すための活動を始めます。

自分の胞子をばらまくための器官、”子実体(しじつたい)”を作るんです。

そのニョキニョキっと生えてくる子実体こそ、私たちが”キノコ”と呼んで食べたりしている部分です。

キノコの生殖成長|気中菌糸のメカニズム

キノコの生殖成長

 

ところが、胞子を撒くために子実体を作ったものの、『あれ、まだ早かったかな?』と何らかの要因で感じた時に、栄養成長の状態に戻ろうとして、子実体の栄養を元に新しい菌糸が成長する事があります。

そう、それが気中菌糸なのです。

気中菌糸発生のメカニズム

気中菌糸の発生

 

気中菌糸は鮮度が悪いから生えるわけではない

気中菌糸が生えると、そのキノコが古いのではないかと思ってしまう方も多いのですが、そうとは限りません。

実は、生産地で栽培している段階でも、軸や石づき付近に発生している場合もあるんです。

鮮度が悪いから生えるというわけではなく、気中菌糸が発生する要因は様々です。

 

気中菌糸は食べられる!

気中菌糸はキノコの一部ですので食べても問題ありません。

調理してしまえば見えなくなりますが、気になる場合は調理の直前にさっと湿らせたキッチンペーパーやふきんで拭くと取る事が出来ます。

気中菌糸は食べられる

 

とはいえあまり見た目の良いものではないので、出来る事なら発生しないように対策したいところです。

 

気中菌糸の発生を抑える方法

家庭でできる気中菌糸対策を紹介いたします。

 

キノコは密閉して保存する

気中菌糸は、キノコを袋から出した状態で置いておいたり、袋自体に穴が開いていると発生しやすいです。

購入時にキノコが空気に触れるような状態になっていたら、ラップをしたり、密閉できる袋などに移し替えて冷蔵保管してください。

 

キノコに温度差を感じさせない

気中菌糸は、温度変化を与えると発生しやすくなります。

例えば、夏の暑い日にスーパーで購入したキノコを台所のテーブルにしばらく置きっぱなしにして、後で冷蔵庫に入れたりすると良く発生します。

また季節の変わり目などは特に発生しやすいです。

キノコを購入したらすぐに冷蔵庫に入れ、なるべく温度変化を感じさせないようにしましょう。

 

気中菌糸が発生しやすいキノコ

気中菌糸はどのキノコにも生えますが、経験上次の3種類は特に生えやすいです。

  • ブナシメジ
  • エリンギ
  • ヒラタケ

これらのキノコを購入した時は、密閉してすぐに冷蔵庫で保管することで、ある程度気中菌糸の発生を抑えることが出来ます。

ただ、ヒラタケはあまり日持ちがしない方なので、できるだけ早めに食べ切りましょう。

 

ヒラタケシメジは気中菌糸が要因で生産量が減っていった?!

今は”シメジ”と言えば『ブナシメジ』を思い浮かべる人が大半だと思いますが、一昔前は”ヒラタケシメジ”の方が多く栽培されていました。

ヒラタケのカサ部分をあえて大きく開かせずにシメジ状に栽培したもので、『シメジと呼んでいるけど実はシメジの仲間ではない』という、ちょっとややこしいキノコです。

ただ味・香りはとても良く、鍋に入れると絶品!

いまでもファンが沢山ついています。

そんな美味しいヒラタケシメジですが、残念ながら年々生産量が減っていき、ブナシメジにとってかわられていきました。

その理由の一つとなってしまったのが、『気中菌糸』です。

ヒラタケシメジは気中菌糸がとても生えやすく、これが家庭や店頭でカビと間違われ、人気を落としてしまったのです。

ヒラタケシメジの気中菌糸

確かに見た目は悪いです

 

とっても美味しいキノコなのに、もったいない・・・

ただ最近ではその美味しさが見直され、栽培品を見かける機会が増えてきています。

ホクトさんの『霜降りひらたけ』は絶品でした!!

 

まとめ

キノコに付着している白い綿『気中菌糸』が発生するメカニズムを、イラストを交えながら解説しました。

今記事のまとめです。

  • エリンギやブナシメジに付着する白い綿は気中菌糸(きちゅうきんし)と言いキノコの一部です
  • 気中菌糸は食べられます!
  • 気になる場合はキッチンペーパーなどでさっと拭き取ってから調理にご利用ください

 

もしキノコに白い綿状のモフモフが付着しているのを見つけても、あわてず騒がずさっと拭きとって料理に使っていただけましたら幸いです。

 

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この記事を書いた人

露木 啓(つゆきのこ)のアバター 露木 啓(つゆきのこ) 関東きのこの会 代表

『“キノコ”といったら露木までっ!』
元きのこ問屋の営業マン。
生産者さんからきのこを仕入れ、主に関東のレストランや生協さん、自然食品さんに卸す仕事をしていました。
また『きのこのじかん』という情報発信サイトできのこ記事も書いていました。
今は職業きのこから離れ、趣味としてきのこと付き合っています。
主に土日に散策してきのこを撮ったり。
また、きのこの歌を作詞作曲し歌っています。

・ベーシックきのこマイスター
・ヨコハマきのこ大祭実行委員

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