薬膳きのこ『冬虫夏草(トウチュウカソウ)』の煎じ方

冬虫夏草(トウチュウカソウ)の煎じ方

薬膳食材として注目されているきのこ『冬虫夏草(トウチュウカソウ)』の煎じ方や、食材としての利用方法についてまとめました。

冬虫夏草の煎じ方(1人分)
  1. ガラス鍋や土鍋に冬虫夏草(乾燥)と水を入れる
  2. 30分程度煮詰めて水が半分程度まで減ったら出来上がり

 

目次

冬虫夏草(トウチュウカソウ)とは

カメムシタケ(冬虫夏草)

カメムシタケ

昆虫に寄生して発生するきのこを『冬虫夏草(トウチュウカソウ)』と言います。

きのこは『木の子』って言うくらいだから木に生えるもの、と思っていませんか?

実はそうとは限りません。

昆虫に寄生して養分を得ているきのこもあるんです!

 

≪きのこの栄養摂取方法による分類≫

腐生菌
(ふせいきん)
木材や落ち葉など植物の死骸を分解することで栄養を得るきのこ。
椎茸やブナシメジ、エノキ、ナメコ、キクラゲなど
菌根菌
(きんこんきん)
生きている植物の根と繋がり共生するきのこ。
根を通して栄養をもらい、無機物を植物に与える。
松茸やポルチーニ、ハナイグチ、ベニテングタケなど
寄生菌
(きせいきん)
昆虫や他の菌類に寄生し養分を得るきのこ。
ヤグラタケ、セミタケ、サナギタケ、アリタケなど

 

冬虫夏草は寄生菌に分類されています。

冬は虫だったのに、夏には草(きのこ)になってしまう。

だから冬虫夏草というわけです。

尚、セミから生えるのは『セミタケ』、クモから生えるのは『クモタケ』、カメムシから生えると『カメムシタケ』など様々な種類がありますが、虫から生えるきのこをひっくるめて『冬虫夏草』と呼びます。

 

冬虫夏草(トウチュウカソウ)は薬膳食材

冬虫夏草のうち何種類かは食用にすることが可能で、特に一部は滋養強壮や疲労回復など強い薬効があるとされ、中国では古来より不老長寿の妙薬として食されてきました。

そんな冬虫夏草が有名になったのは、1993年の世界陸上競技選手権大会。

中国陸上女子チームの馬軍団が次々と世界記録を出し、その際に『冬虫夏草を飲んでいた』と話したため一躍脚光を浴びました。

尚、この時馬軍団が食べていた冬虫夏草は、オオコウモリガから発生するきのこ(シネンシス)を指すのですが、培養が難しく、また天然物も希少なため1Kgあたり300万円もする超高級品です。

そのため、現在一般的に流通している冬虫夏草は、オオコウモリガの近縁種で培養しやすく比較的安価なサナギタケ(ミリタリス、北虫草)になります。

サナギタケ(ミリタリス、北虫草)

サナギタケ(ミリタリス、北虫草)

 

どうも、シネンシスとミリタリスの2種類のみ、冬虫夏草の重要成分と言われている『コルジセピン』を含有しているようです。

また、実はシネンシスよりミリタリスの方が有効成分が多いという研究報告もあります。

 

冬虫夏草(トウチュウカソウ)の煎じ方

食用として用いられる冬虫夏草は、主に保存が効く乾燥物や粉末、サプリメントなどの状態で流通しています。

乾物の使い方は、煎じて飲むのが一般的です。

《料理名》
『冬虫夏草の煎じ方』(1人分)

 

《調理時間⌚》30分

《材料》

  • 冬虫夏草(乾物)・・5~10g
  • 水・・・・・・・・・800cc

 

《作り方》

  1. ガラス鍋や土鍋(鉄以外の鍋)に冬虫夏草と水を入れます。
    ※煎じた後の冬虫夏草を料理に使う場合は、あらかじめ適度な大きさにカットしておくと楽です。

    冬虫夏草の煎じ方

  2. 30分程度煮詰めて水が半分程度まで減ったら出来上がり。

    冬虫夏草の煎じ方

 

 ポイント

熱々で飲んだ方が美味しいので、冷めたらまた温めましょう。

煮汁はそのまま置いておくと腐敗するため1日で飲みきってください。

 

この煎じ汁を飲みます。

ほんの少し後味に薬っぽさを感じますが、甘みがあり香りも良く、ハーブティの様な感じで意外に飲みやすいです。

尚、煎じた後の冬虫夏草は食べることができます。

そのままお召し上がりいただくか、お味噌汁や炒め物などに混ぜてご利用下さい。

 

冬虫夏草(トウチュウカソウ)は鉄鍋で煎じてはいけない

冬虫夏草などの生薬は、鉄鍋で煎じてはいけないと言われています。

これは、鉄鍋を使って煎じると、加熱中に成分が溶け出して目的の薬効成分を変えてしまう事があると言われているためです。

冬虫夏草を煎じるときは、ガラスや土、ホーロー製の鍋を使用してください。

 

冬虫夏草(トウチュウカソウ)を食材として利用する

冬虫夏草は、煎じ薬として飲むだけでなく、食材として用いることも可能です。

以前お伺いした薬膳きのこ鍋のお店で、冬虫夏草が具材として出てきたことがありました。

きのこ鍋に入っていた冬虫夏草

ブラウンえのきに見えないこともない

他のきのこと同じように、普通に鍋で煮込んで食べます。

ご家庭で味噌汁やスープなどの具材として使用する場合は、食べやすい大きさにカットし他の具材と一緒に煮込んでください。

炒め物などに使用する場合は、お酒や水で30分程度戻してから炒めます。

カットした冬虫夏草

※冬虫夏草は必ず加熱してお召し上がりください。

 

まとめ

  1. 虫から生えるきのこをひっくるめて『冬虫夏草』と呼ぶ
  2. 現在、食材として一般的に出回っている冬虫夏草はサナギタケ(ミリタリス、北虫草)
  3. 冬虫夏草の使い方は煎じて飲むのが一般的
  4. 乾物は、水やお酒で戻して味噌汁や炒め物、鍋の具材として使う事も出来る

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この記事を書いた人

露木 啓(つゆきのこ)のアバター 露木 啓(つゆきのこ) 関東きのこの会 代表

『“キノコ”といったら露木までっ!』
元きのこ問屋の営業マン。
生産者さんからきのこを仕入れ、主に関東のレストランや生協さん、自然食品さんに卸す仕事をしていました。
また『きのこのじかん』という情報発信サイトできのこ記事も書いていました。
今は職業きのこから離れ、趣味としてきのこと付き合っています。
主に土日に散策してきのこを撮ったり。
また、きのこの歌を作詞作曲し歌っています。

・ベーシックきのこマイスター
・ヨコハマきのこ大祭実行委員

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